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Monday, May 6, 2013

日本とアメリカのシステムの違い(4)

<前回のポストからの続きです>

出世に関して言えば日本の場合は教室に教授というポストは基本的に一つしかないので、退官等で教授が辞めて空きのポストができるまでは他の人が教授になることはできない。

このように、日本では准教授(Assistant Professor)から教授(Professor)や助教授(Associate Professor)になるというのはポジションの空き次第である場合が多い。

一方アメリカでは予算の都合上准教授になれる定数は決まっているものの、一旦准教授になったらそこから助教授や教授になるという出世に関してはポジションの空きではなくてその人の業績次第ということになる。

その分出世に関する審査は大変厳しい。

例えば、論文の数や質、グラントの保有数などの業績に加え、教育面での貢献、教室や大学に対する貢献などを総合的に評価され、しかもその評価は教室、教室以外の学内の審査員、学外の審査員など多方面から行われる。

多くの大学では准教授から助教授になるときにテニュア審査も同時に行われ、その際にテニュアが許可されなければ大学を去らなくてはいけない。

これはなかなかシビアな世界である。

また、実際にはアメリカにも教室を束ねる人としてチェアマンというポジションはある。

おそらくこれは日本で言うところの教授に近い。

しかし、日本と違って教授=チェアマンという訳ではなく、教授でチェアマンの人もいれば、助教授でチェアマンの人もいる。

そして、もし仮にチェアマンだった人がその任を降りたとしても同じポジションで(例えば教授であったなら教授として)その教室に残ることはできる。

このように日本では教室の長になるかどうかはポジションの数に依存しており、その長を教授と呼ぶが、アメリカでは教授であるかどうかは業績次第であり、また教室の長になることと教授であることは切り離されている。

<つづく>


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Wednesday, April 17, 2013

日本とアメリカのシステムの違い(3)

<前回のポストからの続きです>

日本とアメリカではポジションに対する独立性も違う。

日本ではその教室内で教授になって始めて独立した存在と見なされるが、アメリカではテニュアトラックの准教授になった時点で自分の独立したラボを持てる。

ここは大きな違いで、日本の場合は若くして教授になる場合を除いては、独立して自分のアイデアを元にグラントを取り、そのアイデアを形にしていくのに時間がかかる。

そして、いくら肩書きが准教授であっても成果の責任や決定などの権限は常に教授にあるので、完全な独立ではない。

他の見方をすると大きな責任がなく楽なポジションではあるが、自由度は低いのでちょっと物足りない気もする。

一方アメリカでは准教授になった時点で、自分のラボを維持するためにグラントを取ったりしなければならないという大きな責任を背負わなければならなくなるが、すべては自分の責任でラボを運営できる。

向上心のある若手にはこっちの実力主義の世界の方が魅力的に映るのではないだろうか。

しかし、テニュアが取れるまでは、いつでもクビになるというリスクが常につきまとう。

独立したとたんに大御所の教授陣と同じ土俵で勝負していかなければならず、そういう戦いを勝ち抜いていかなければならないことを考えるとこれはこれで厳しい世界なのである。

<つづく>


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Wednesday, March 27, 2013

日本とアメリカのシステムの違い(2)

<前回のポストからの続きです>

アメリカではテニュアトラック、クリニカルトラック、リサーチトラックという3種類のファカルティーポジションがある。

最日本でも聞かれるようになったがテニュアトラックというのが正規のファカルティーで研究(また医師の場合は臨床も)、教育、デパートメントの仕事などを行う。

クリニカルトラックは主に臨床を、リサーチトラックは主に研究だけを行う。

テニュアトラックは出世に伴い終身雇用権を獲得する権利があるが、クリニカルトラックとリサーチトラックにはその権利はない。

また、テニュアトラックは独立して自分のラボを持つことができるが、リサーチトラックはテニュアトラックファカルティーの傘下に属し独立とは見なされない(ファカルティーとは名ばかりで実際はポスドクの延長みたいなものである)。

日本で置き換えると、テニュアトラックは准教授以上でリサーチトラックは任期付の助教という感じか?

僕は今現在、このリサーチトラックファカルティーでテニュアトラックの職を探している最中である。

こちらのファカルティーは、自分の給料をある程度グラントから捻出しなければならない。

テニュアトラックの場合はある割合の給料は大学が保証してくれる(公立校で6−7割、私立で2−3割と聞いたことがある)。

これをハードマネーという。

一方、リサーチトラックの場合は100%の給料をグラントから捻出しなければならない。

これをソフトマネーという。

結果、グラントがなくなった場合、終身雇用権を獲得したテニュアトラックファカルティーは減給されるが職は失わない。

しかし、リサーチトラックの場合はグラントがなくなった時点で終わりになる。

クリニカルトラックの場合は詳しくは解らないが、診療をしている関係で大学や病院に収入をもたらすので、終身雇用はされないがリサーチトラックほど厳しい条件ではないのではないだろうか。

<つづく>


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Tuesday, March 12, 2013

日本とアメリカのシステムの違い(1)

ここでは日本とアメリカにおける大学人としての道のり(今まさにその道の途中)の違いを僕なりに検討してみた良いと思う。

<それでは、はじまりはじまり>

日本でもアメリカでも大学院を卒業して学位を取ったら、その学位を武器にしてその後の進路を決めていくことになる。

その中の選択肢の一つとして大学にファカルティー(教授陣)として残るというものがあるだが、そこには日本とアメリカではかなりの違いがある

しかし、その違いをはっきり解っている人はあまり多くないと思う。

僕も完璧に解っている訳ではないが、両方のシステムを見てきたものとして、ここでは日本とアメリカの大学でのファカルティーシステムの違いを僕なりの視点で解説していきたいと思う。

ファカルティーの枠が博士号取得者と比較すると驚くほど少ない今のご時世、博士号取得からすぐにファカルティーになるという道は恐ろしいほどまれでよほど運がよくない限りはまずあり得ない。

そのため、まず学位(博士号)を取得したら大方の場合ポストドクター(ポスドク)という学生でもなくファカルティーでもない曖昧な奴隷のようなポジションについて修行を積みながらファカルティーを狙うというのは日本もアメリカも特に大きな違いはないと思う。

そして、海外に留学を考えるのはこのポスドクの期間が多く、また博士号を持たない医師や歯科医師の場合でも医師や歯科医師の学位が一応博士号と考えられるのでポスドクとして留学することになる。

その後日本に帰って日本でファカルティーを目指す場合もアメリカに残ってファカルティーを目指す場合もどちらも長い階段を上っていくことには変わりはない。

<つづく>


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Wednesday, February 27, 2013

交渉術(4)

<前回のポストからの続きです>

これは友達に聞いたことなのだが、特に数字が絡む交渉では先に数字をいってしまったらその交渉は負けらしい。

ちょっと打算的な話になるが、給料交渉などのときにすぐに自分からいくら欲しいか言ってはいけない。

話の流れで「いくら欲しい?」と聞かれたら、まずはいくらぐらいまでなら相手が出せるのかを探る。

先にいくらと金額を出してしまったらそこからの大幅な上昇はないが、相手が出してきた金額より少し多めに言えばその要求は通ることが多いらしい。

しかし、相手が交渉の素人である場合は少ないので、必ずしも相手が先に数字を言ってくれる訳はなく自分が先に言わざるを得ないときが多い。

時と場合にはよるが、そういうときはそのポジションや勤務年数に対する給料の平均よりちょっと上に言うと良い。

そのためにはそのポジションに対するだいたいの平均の給料を知っておかなくてはいけないのだが、アメリカの大学機関では基本的に給料は公開されているので自分の給料が適正なのか一度調べておくのも良いかもしれない。

もし、自分の給料があまりに低いようなら、今後長く居続けるべきかどうかの判断材料にもなると思う。

このように数字が絡む交渉になりそうなとき(たとえそれが給料でなくても)は、事前にどのくらいの数字を提示されそうなのかを調べておくことは、交渉を成功させる上での基本である。

交渉にもいろいろテクニックはあるようだが、一番大切なことは主張や交渉をする前にボスに自分の働きぶりを認めさせ、長く雇うに値すると思わせることである。

そうすれば、テクニックなどに頼らなくても相手がこちらの要求(無理な要求でなければ)をのんでくれることが多い。

何度も言うようだがまずは一生懸命働こう、それが留学における交渉での成功の秘訣である。


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Tuesday, February 26, 2013

交渉術(3)

<前回のポストからの続きです>

適度に主張していくのは必要なことではあるが、主張もしすぎるのはあまり好ましいのもではない。

特に何も成し遂げていない状態で主張や交渉を始めるのはいただけない。

アメリカでは主張していくことが当たり前とはいえ、これではただの文句の多い人間だと思われてしまう。

何事にも順番が大事なのである。

例えばラボで働きはじめて始めてすぐにヴィザのサポートを頼むとかいうようなことはできれば避けた方が良い。

ヴィザが切れるまでに時間が全然なかったとしてもまず始めは一生懸命働いてヴィザをサポートするにふさわしい人間だと証明しなくてはいけない。

たとえそれが短期間であったとしても、いきなりヴィザの話を始めるよりは効果的である。

しかも雇う側の人間としては、よく働く人にはその人が働きやすい環境を提供してあげたくなるし、いろいろと声をかけてあげたくなる。

ここで「何か困っていることはないか?」と聞いてきてくれたらしめたものである。

この状態になったら主張は通りやすくなる。

しかし、ここでも要求や交渉はしない方が良い。

できれば、自分が何を求めているのかを相手に言わせるようにすると良い。

そうすればこちらから頼んだことではなくなるので、相手が実現してくれやすくなるし、何も前に進んでいなければどうなっているのか探りを入れやすくなる。

反対に自分から頼み込んだ場合は、相手もいやいややっている場合もあるし、すぐに取りかかってくれないことも多い。

<つづく>


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Wednesday, February 20, 2013

交渉術(2)

<前回のポストからの続きです>

まず始めのポイントとして、今後いろんなことで交渉を進めていくためには自分の主張をしていかなくてはいけない。

これは遠慮や謙遜といった文化のある日本人に取っては苦手なことだと思う。

しかし、自己主張を全くしないでアメリカでストレスなく生きていくのは結構難しい。

特にアメリカでは日本のように阿吽の呼吸というものは存在せず、仕事上で困っていることや不満に思っていることがあっても、それをボスが勝手に察してくれることはほとんどない。

これはボスという仕事が忙しいためそこまで気にかけている余裕がないということも一つの要因であるが、それだけでなく意外と単に気がついていないということが多い。

だから不満などがある場合は日頃からこまめにアピールしていくことは大切である。

また日本のように年功序列という分かもないので、上司に不満を言ったりすることが失礼に当たるということもない。

だからといって攻撃的になっていいという訳ではない。

それなりのリスペクトを持った態度であれば、自分を主張していくことは悪いことではない。

ここでちょっと矛盾してしまうかもしれないが、交渉をうまくすすめるためのテクニックとしては、主張をするのはいいがすぐに交渉を始めるのは控えた方がいい

例えば、「ここ1ヶ月忙しくて週末も働いているから疲れている。」というのは良いが、「ここ1ヶ月忙しくて週末も働いているからバケーションが欲しい。」と始めてはいけない。

そのときの1回はいいかもしれないが、この手を頻繁に使うと要求が多いやつだと思われてしまうので後々損をすることになる。

<つづく>


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