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Saturday, August 25, 2012

留学先の決め方(4)

<前回のポストからの続きです>

それでは、どんな留学先(研究者の場合はラボ)を選ぶのがいいのだろうか?

僕的にはその世界で有名というだけでラボを選ぶよりも、自分がやりたいことをやっているラボを選んだ方がいいと思う。

有名ラボのいいところは、まずそこのボスが有名人でその人と知り合いになれるということ。これは確かに将来的に大きなコネになるという点ではいいことかもしれない。また、インパクトファクターの高い雑誌に論文を載せることができる確率は高くなる。しかしその反面、そういった論文は自分が中心になって仕事をする(自分が論文の第一著者になる)というよりは、大きな仕事の歯車の一つとしての仕事(誰かの論文の共著者の一人になる)になってしまう可能性が高い。

その一方で、あまり有名ではない一般的なラボ(僕はこれを中小企業ラボと呼んでいる)は、人数が少ないことが多いため、自分が中心になって仕事をまわしていかなくてはならず忙しい反面、自分が第一著者としての論文は出やすい。残念ながらラボの規模が小さいためなかなか大きな仕事にはなりにくいのだが、もし大きな仕事が中小企業ラボから出せたとしたら周りからすごく評価される。そこは工夫次第だと思う。また、そういったラボでは何でも自分でやらなくてはいけないので研究以外の雑用もある程度はこなさなくてはならない。これをいい風にとらえると、研究の技術的なこと以外にもいろいろと学ぶことができる。

あと、英語が苦手という理由だけで、日本人のボスのラボに行きたいと思う人もいると思う。ラボ内では、コミュニケーションに困ることはないかもしれないが、それでは異文化に留学をしにきている意味はないのかもしれない。結局日本にいるのと同じである。そのラボでどうしてもやりたいことがあるとか、教室同士のつながりでどうしてもそこに行くしか選択肢がないというのであればしょうがないと思うが、できれば日本人ボスのラボは第一選択にはせず、英語でコミュニケーションを取らなくてはいけないラボに挑戦した方がいいと思う。

どういうラボを選んでも良い面と悪い面はあるのだが、ラボ選びで一番大事にして欲しいことは、給料くれるところを探すということ

実際日本人は無給でも留学してしまうことがある。実は自分も始めはそうだったのだが、今考えると異常なことだったと思う。自分の場合はどうしても行きたかった留学先にそのときお金がなく、グラントが当たるまで待ってくれと言われたにもかかわらず、自分から無給でもいいので行きたいと無理矢理押し掛けてしまったので自業自得だった。運良く半年後にグラントが当たって給料が出るようにはなったが、正直無給の時の生活は厳しかった。

給料をくれるということは結局その人に対する評価でもある訳だし、長くいたいならたとえ金額が多くなくても給料をくれるところをなるべく探した方がいい

<つづく>


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Friday, August 24, 2012

留学先の決め方(3)

<前回のポストからの続きです>

例え知り合いの紹介であるとか、コネが見つかったからといって、そのときのラボの経済状態等の問題ですぐに採用とはいかないかもしれない。

しかし、これもコネ作りの一環と思って、マメに連絡は続けていった方がいいと思う。

今度海外の学会に行くけど、もし来るならそこで会えませんか?

とか

最近こんな面白い論文が発表されたけど、読みましたか?

とか話題は何でもいいと思う。

とにかく相手に忘れられないようにすることが大事。

もしかしたら今後グラントがあたったときに声をかけてくれるかもしれないし、ほかのいいラボを紹介してくれるかもしれない。

また、そのようなときに声をかけてもらえるように普段から論文を発表したり、海外の学会で発表したりと自分を売るためにもこつこつと業績を残していくことも大切である。

やはり、頑張っている人は、他人の目にも留まるし、往々にしてチャンスが転がってくるものである(と信じたい)。

また、もし可能であれば、日本にいる間に各種財団からのフェローシップに応募しておくとよいと思う。

例え当座のものであったとしても自分で留学資金を用意することができたなら、ほかの候補者たちよりも印象はよくなり、採用される可能性は高くなる。やはりどの世界でも、地獄の沙汰も金次第なのである。

<つづく>


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留学先の決め方(2)

<前回のポストからの続きです>

では、どうやって自分で探せばいいのだろうか?

矛盾しているようなのだが、やっぱりコネが一番大事。なんだかんだ言っても人と人とのつながりは侮れない。

自分の研究分野で興味があるラボに自分の履歴書を添えてコンタクトをとってみるというのも一つの手であるが、あったこともない外国人の就職活動にいい反応を示してくれるラボはあまりないと思う。やらないよりはましだと思うが、成功する確率はかなり低い。

もし以前に留学していた知り合いがいたら、雇ってもらえるかどうかは別としてその人が留学していたラボを紹介してもらうのもいいかもしれない。

僕の場合はこれに近い。自分が大学院生のときに学位論文をまとめている際、自分が参考にしている論文の多くが一つのラボから発表されており、”何となくここのラボのトップにあってみたいなぁ”と常々思っていた。

何かの拍子に、その研究者がいる施設に、たまたま知り合いがいることがわかって、その人を通じてその研究者に会うアポイントを取ることができた。

それが自分の留学先のボスである。

僕の場合はかなりラッキーな部分もあると思うが、探してみるとコネは意外と身近なところに転がっていたりする

しかし、コネの方から勝手に自分に近づいてくることはないので、常にアンテナを張り巡らせて、積極的に探していくことが重要である。

<つづく>


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Wednesday, August 22, 2012

留学先の決め方(1)

今日からは、どのように留学先を決めていったら良いかについての僕なりの考察をまとめていこうと思います。

<それでは、はじまりはじまり>

留学すると決めたからには、まずは留学先を選択しないと行けません。

それでは、一体どんな方法があるのでしょうか?

一番手っ取り早い方法は、自分が現在所属している教室に紹介してもらい留学先を決定してしまうということ。

もしこれが信用できる人からの紹介であれば、留学する側/留学者を受け入れる側両方に取ってあまり大きな失敗はしないのでとてもいい方法に思われます。

しかし、ここには大きな落とし穴があって、特に自分の教室からの紹介の場合は、留学前から研究内容や帰国時期が決まってしまっていることが多く、またごくまれにではあるが留学期間の途中であっても無理矢理日本に引き戻されてしまうということがあるらしい。

海外で研究をするというよりは、ちょっと海外で生活をしてみたいという人にはいいのかもしれないが、本腰を入れて海外で研究をしてみたいという人には、帰る時期が最初から決まってしまっているというのはあまりおすすめできません。

また、教室の人たちに仕事を残して留学してしまったという後ろめたさもあり、帰国した後にお礼奉公的なことをしないといけなくなる可能性もあるから、これから留学してみたいと思っている皆さんには、なんとかして自分の力で留学先を探してほしいと思う。

<つづく>


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Sunday, August 19, 2012

なぜ今留学?(6)

<前回のポストからの続きです>

アメリカに来てそろそろ6年が経とうとしている。

この6年間はあっという間だったような気もするが、じっくりと振り返ってみるとものすごくいろいろな出来事があって充実していた。そして、ものすごく昔からこの国に住んでいるような気もする。

しかしながら僕の海外留学という旅は、まだまだ未熟で始まったばかり。

それでも、少ないながらの留学経験をこれから留学しようと考えている人たちに伝えてあげることができるかもしれない。

しかしながら、これを読んでやはり留学をやめようと思う人もいるかもしれない。それはそれでいいと思う。

しかし、一人でも多くの人に留学のよさを伝え、一人でも多くの人が留学するという選択をしてくれて、それらの人たちにとっての海外留学が成功するための手助けになったら大変本望である。

特に長期にわたってアメリカで研究していきたい人にターゲットを絞っていこうと思うが、アメリカでの働き方という面では短期留学者や研究者以外の人の参考にもなると思う。

僕は日本では医者だったがこの国では医師としての資格はないので、医者の観点からの留学を語りたいと思うが、医学博士ポスドクとしての留学側代の中心になると思う。

また、どのように海外留学を進めていくかというマニュアルを求めている人たちにとってはかゆいところに手が届かず、物足りないかもしれないが、このブログが少しでも多くの人の海外研究留学のきっかけとなり、また留学生活の成功に貢献できることを願っている



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Saturday, August 18, 2012

なぜ今留学?(5)

<前回のポストからの続きです>

留学前に夢中になって読みふけった留学に関する本は、かなり参考にはなったのだが留学に関するマニュアル本的なものがほとんどであった。

実際、どうやって留学するかについてはかなり詳しく書いてあったのだが、留学してからの戦い方に関して書いてある本はほとんど皆無に等しかった。

アメリカに来てから強く思ったことは、日本にいるときと同じような仕事の仕方ではなかなか認めてもらえないということ。

特に日本と違って言葉でうまく伝えなくてもわかってくれるということは皆無に等しい

さらに多くの日本人は英語がうまくしゃべれずだまっていることが多いので、ものすごく頑張っても報われず、何もしていないよくしゃべる人間が得をするということも往々にしてある。

しかし、その一方でこの国はいい結果を出した人には更なるチャンスをくれる土壌(俗にいうアメリカンドリーム)はちゃんとある。

周りにいる留学している日本人を見ているとそのチャンスをつかむ前に帰国してしまっていることが多いように見える。もしかしたら、そういう人たちにとって留学は苦しくて楽しいものではなかったのかもしれない。そういう苦しい経験を目の当たりにしている日本に残っている研究者は留学に二の足を踏んでしまうのかもしれない。

実際、どういう風に働いたら海外で成功できるのかなんて誰も教えてくれないし、自分でもがき苦しんで探しだしていくものなのだとは思うが、もしそういうことが足かせになってになって留学をあきらめているのだとしたらそれは悲しいことだと思う。

僕自身思うことだが、苦労もあるけどやっぱり海外生活は楽しいし、多くの人に海外留学を経験してほしい

だから、これから海外に出て行こうと思っている研究者の人たちが同じような苦労をすることがないようにという思いと、彼らの道標になればという思いで、これまでの経験を書き記していこうと思ったがこのブログを書こうと思った動機である。

<つづく>


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Friday, August 17, 2012

なぜ今留学?(4)

<前回のポストからの続きです>

だからといって海外にただ遊びにいく訳には行かない。自分の経験を生かせる留学の方法を探さなくてはいけなかった。

しかし、そのときの僕にはどうやって留学していいのかがわからなかった。

だから、まずは本屋さんに行って医学留学に関する本をとにかく買い漁った。

そして、何冊か読むうちに医師としては、大まかに臨床医としての留学基礎研究者としての留学という二通りの道があることがわかった。

そのころ、僕は大学院で基礎研究に励んでいて、自分で仮説を立てて解いてそれを論文にまとめていくという研究者のスタイルが僕の性に合っているなぁと感じ始めていた。僕は研究者として自分の力がどれくらい通用するのか知りたいとも思い始めていた。また、かっこ良く理由付けをすれば、臨床医は目の前の患者さんを治すことができるが、研究者は未来の目に見えない何万人の患者さんの治療に貢献できるとも思っていた。

始めは悩んだが、最終的に僕は研究者として留学する決意をした

しかし、その頃の僕は海外留学に行くことが最大の目的になっていて、どうやったらアメリカに行くことができるかばかりを考えていて、アメリカに行ってからどうやって働いていくかなんてみじんも考えていなかった。

それはそれでよかったのだが、今になって思い返してみると留学前にそういう情報が少しでもあったら、

"僕のアメリカ研究留学生活ももっと楽だったかな?"

と最近ふと思う。

<つづく>


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